「せっかく用意されているのに嫌いなものだったら
　食べない――なんて随分じゃない。
『パンがなければお菓子をお食べ』みたいなっ。」
「違うね。
『パンじゃなくてお菓子を食べればいいじゃない』だ！」
「それだ！！」



　　　　　　　　　　　　　　飽食の時代
　　　　　　　　　　　　　　　　　　[或る日の出来事]

Two men look out through the same bars:
One sees the mud, and one the stars

                                      Frederick Langbridge
                                       　　　   『Immortal Poetry』




二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。
一人は泥を見た。一人は星を見た。
　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　フレデリック・ラングブリッジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『不滅の詩』

　　　

　　　　　　　　　　　　
　『ジョジョの奇妙な冒険　第一部ファントム・ブラッド　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　－第一巻　扉絵－』

Ask,and it will be given to you;
seek,and you will find;knock,and
it will be open to you

              ――Loukas
                         NEW  TESTAMENT -MATTHEW-



求めれば、与えられよう。
探すのならば、見出されよう。
門を叩け、さすらば門は開かれる。

　　　　　――ルカ
　　　　　　　　新約聖書　マタイによる福音書

この頃京に流行るもの、
肩当腰当烏帽子止、襟の立つかた、
錆烏帽子、布打の下の袴、四幅の指貫。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　『梁塵秘抄』


 

みどりの野原に雨
木のうえにも雨
おうちの屋根にも雨でもさ
ぼくのうえだけ　晴れにして


Rain of  the green grass,
And rain on the tree,
Rain on the house-top,
But not on me.


            河田ヒロ　画/訳
　　　　　　　　『マザー・グースの贈りもの　お砂糖とスパイス』

楽しみだなあ。楽しみだなあ。楽しみだなあ。
この街は俺の知らない事がまだまだまだまだ
溢れ、生まれ、消えていく。
これだから人間の集まる街は離れられない！
人、ラブ！俺は人間が好きだ！
愛してる！

　　　　　　　　　―――新宿の情報屋
　　　　　　　　　　　　　　　　　　折原臨也
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『デュラララ!!』　柱書き

赤い顔してお酒を飲んで
　　　　今朝の勘定で青くなる

　　　　　　　　　古典都々逸

うなり、うごめき、そいつらは立ち上がる。
言葉もなしに、その目に動きもなし。
それは夢だとしても、あまりに奇妙なこと。
こんな死人が蘇るなど････。

　　　　　　　　　　　　サミュエル・コールレッジ
　　　　　　　　　　　　　　　　『老水夫行』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　スケイズ・ゾンビ

一文なしの文三郎、文三郎をさらおうと
どろぼうどもがやってきた。
にげた、にげた、烟突の素頂辺へ攀じっていった。
しめた、しめたとどろぼうどもがおっかけた。
それをみて文三郎、そろっとむこうへにげおりた。
こうなりゃみつかるまい。
かけた、かけた、十五日に十四マイル、
それで、ふりむいたが、もうだァれもみえなんだ。


　　　　　　　　　　　　　　北原白秋
　　　　　　　　　　　　　　　　『まざあ・ぐうす』

改造すべきは単に世界だけではなく、人間だ。
その新しい人間はどこから現れるか。
それは外部からでは決してない。
友よ、それをお前自身に見出すことを知れ。

　　　　　　　　　　　　―――アンドレ・ジッド

And it shall comes to pass That whoever
calls on the name of the LORD shall be saved.'
　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　NEW TESTAMENT -ACTS-



主の名を呼び求める者は皆、救われる。

                           新約聖書　-使徒言行録-

『汝自身を知れ』
これそもそもソクラテスの言葉じゃないだろ？
どっかの神殿の入り口の柱に刻まれていた言葉で
『無知の知』はひとつの解釈だ。
七人だかの賢人が彼の、ソクラテスの前に存在して
その一人の言葉だったかなんだったか。
『身の程を弁えろ。』って意味だったと思う、平たく言って。
まぁでもさ、大概倫理とか学校で習うとこじゃ
ソクラテスの解釈どまりでそこまで辿りつかないから、
だから敢えて言ってやりたんだ。




汝自身を知れ




まったくいい言葉じゃないか!!




　　　無知だと笑うならば汝自身を知れ
　　　無知の知だと言うなら知を知らぬと知れ 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　[或る日の出来事]

泣くな。
泣き顔には腹が立って殴りたくなる。
殴った手が痛くて余計に腹が立つ。
鼻血を出すのも生意気で腹が立ち、さらに蹴りたくなる。
蹴られて転がる動作も無様で腹が立って、殺したくなる。
それがこの世界で人間というものだ。 

だから

苦しく哀しい時ほど、優雅に微笑み、くだらぬことをいえ。
次も、その次も、またその次も。
死ぬ時まで。
 
　

――アシュレイ・ブフ＆ソレル咒式事務所所属　
　　　　　到達者たる十三階梯　前衛咒式士　
          ギギナ・ジャーディ・ドルク・メレイオス・アシュレイ・ブフ
　   　    　『されど罪人は竜と踊る　第五巻　
　　　　　      　　　　　　　　　　―そして、楽園はあまりに永く―』