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名文/名言/名台詞の乱雑抜粋掲載電波系BLOG。 と言うかただ自分の好きな奴を載せてるんです。 気まぐれ気まま気の向くままに。 出典は問わないのです。 あと役に立つとか立たないとかもどうでもいくないですか。 管理者の名前がなんか変わりましたが 同一人物です。 残念ながら。 人間そう変われないもんです。 よろしい方向には。 最近本を読んでいないために更新ペースがノミです。 -cation- Librisはデスクトップゴーストの一種です。 サプリメントはLibrisにD&Dすることに よってインストール出来るゴーストです。
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悲しみは、何処まででもつづく
蛮土の夜の、お祭りのやうに、その宵のやうに、
その夜更のやうに何処まででもつづく。


それは、夜と、湿気と、炬火(たいまつ)と、掻き傷と、
野と草と、遠いい森の灯のやうに、
頸をめぐり少しばかりの傷を負はせながら過ぎてゆく。


それは、まるで時間と同じものでもあるのだらうか?
胃の疲れ、肩の凝りのやうなものであらうか、
いかな罪業のゆゑであらうか
この駱駅とつづく悲しみの小さな小さな無数の群は。


それはボロ麻や、腓(はぎ)に吹く、夕べの風の族であらうか?
夕べの道を急ぎゆく、漂白の民であらうか?
何処までもつづく此の悲しみは、
はや頸を真ッ直ぐにして、ただ諦めてゐるほかはない。・・・・・・







「夜は早く寐(ね)て、朝は早く起きる!」
――やるせない、この生計(なりわひ)の宵々に、
煙草吹かして茫然と、電燈(でんき)の傘を見てあれば、
昔、小学校の先生が、よく云つたこの言葉
不思議に目覚め、あらためて、
「夜は早く寐(ね)て、朝は早く起きる!」と、
くちずさみ、さてギヨツとして、
やがてただ、溜息を出すばかりなり。


「夜は早く寐(ね)て、朝は早く起きる!」
「夕空は霽(は)れて、涼蟲(すずむし)鳴く!」
「腰湯がすんだら、背戸(せど)の縁台にいらつしやい。」
思ひ出してはがつかりとする、
これらの言葉の不思議な魅力。
いかなる故にがつかりするのか、
はやそれさへも分りはしない。


「夜は早く寐(ね)て、朝は早く起きる!」
僕は早く起き、朝霧よ、野に君を見なければならないだらうか。
小学校の先生よ、僕はあなたを思ひ出し、
あなたの言葉を思ひ出し、あなたの口調を、思ひ出しさへするけれど、
それらを悔恨のやうに、僕の心に侵(し)み渡りはするけれど、
それはただ一抹の哀愁となるばかり、
意志とは何の、関係もないものでした・・・・・・・



                   中原中也
                     「詠嘆調」
                      未発表詩


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ここには一疋の猫が居る。
さうして柳は風にふかれ、
墓場には月が上つてゐる。



             「青猫」 抄
               さびしい猫

                  萩原朔太郎




             

突然わたしはいろいろ噴水のことが分る
このガラス製の不可思議な樹々のことが。
巨大な夢にとらわれて
嘗てわたしが流し そして忘れた
自分の涙のようにわたしはそれを語ることもできよう

では わたしは忘れたのだろうか 大空が両手を
多くの事物(もの)や 群集の中へさしのべるを?
わたしはいつも比類のない偉大さを見たのではないか?
やわらかな 期待にみちた夕暮れを背景としての
古い公園の上昇のうちに――見知らぬ少女たちの中から
立ちのぼる色あせた歌声のうちに。
その歌声は旋律からあふれでて
現実のものとなり ひらかれて池に
自分の姿を映さないではいないかのようだ

わたしはただ噴水と自分とに起った
一切のことを思い出せばいいのだ――
そうすればわたしは水を再びそのうちに見た
落下の重みを感じ
下へ向いてのびていた枝々や
小さな焔をたてて燃え上った声や
岸辺の縁どりだけを
たどたどしげに 歪んでくりかえして画いていた池や
炭のようになった西の森から
まったく疎遠になって立ちあらわれ
別の穹窿をつくって くれてゆき
この下界は自分の思っていた世界ではないと
言おうとしているような夕空が分るのだ


わたしは忘れたのだろうか 星が一つ一つ石と化し
隣りの天体に対しておのれを閉ざしていることを。


さまざまの世界がただ泣きはらしたような眼で
空間のうちに互を認めあっているのを? ――たぶんわれわれは
夜毎にわれわれを見上げている
ほかの人間たちの上空に織りこまれているのだ たぶん彼等の
詩人たちがわれわれを讃えているのだ たぶん多くの者たちが
われわれを仰いで祈っているのだ たぶんわれわれは
われわれに決してとどかない見知らぬ呪いの的であり
彼等が孤独に泣くときに われわれの高さのあたりにいると思っている
ひとりの神の隣人なのだ
その神を彼等は信じたり 失ったりしている
その神の姿は彼等の探し求めるランプの中から
生まれた光りのように たまゆらに吹き消され
われわれの放心した顔のうえを掠めてゆく・・・・・・




                        Von den Fontänen

                          
  
                    「噴水について」
                         『形象集』
                          ライナー・マリア・リルケ
                           
                         *新潮文庫
                                                                『リルケ詩集』
                            富士川英郎訳







私を呼んでください 恋びとよ 私を大きな声で呼んで下さい!
あまたの花嫁をこんなに永く窓に立たせてはいけません
老いたプラターナスの並木道で
夕ぐれはもう見張りをしていません
並木道には誰もいないのです
そしてあなたがあなたの声で
私をこの夜の家に閉じこめに来ないなら
私は私をこの両手から
濃い藍色の庭の中へ
注ぎだしてしまいますよ……

                   Die Braut


                    花嫁
                     リルケ
                      「リルケ詩集」
                         形象集より
                          *新潮文庫
                            富士川英郎

 



一日もはやく私は結婚したいのです
結婚さえすれば
私は人一倍生きていたくなるでしょう
かように私は面白い男であると私もおもうのです

面白い男と面白く暮らしたくなって
私をおっとにしたくなって
せんちめんたるになっている女はそこらにいませんか
さっさと来て呉れませんか女よ
見えもしない風を見ているかのように
どの女があなたであるかは知らないが
あなたを
私は待ち侘びているのです



                    山之口貘
                     「求婚の広告」






奴隷というものには、
ちょいと気のしれない心理がある。
じぶんはたえず空腹でいて
主人の豪華な献立のじまんをする。

奴隷たちの子孫は代々
背骨がまがってうまれてくる。
やつらはいう。
『四足で生れてもしかたがなかった』

というのもやつらの祖先と神さまとの
約束ごとと神事こんでるからだ。
主人は、神さまの後裔で
奴隷は、狩犬の子や孫なのだ。
だから鎖でつながれても
靴で蹴られても当然なのだ。
口笛をきけば、ころころし
鞭の風には、目をつむって待つ。

どんな性悪でも、飲んべでも
蔭口たたくわるものでも
はらの底では、主人がこわい。
土下座した根性は立ち上がれぬ。

くさった根につく
白い蛆。
倒れるばかりの
大木のしたで。

いまや森のなかを雷鳴が走り
いなずまが沼地をあかるくするとき
『鎖を切るんだ。自由になるんだ』
と叫んでも、
やつらは、浮かない顔でためらって

『御主人のそばをはなれてあすからどうして生きてゆくべ。
  第一、申訳のねえこんだ』

という。

                  

                 金子光晴
                  「奴隷根性の唄」





パスカルは ともに動く深淵を待っていた。
――ああ! すべては深淵――行動も、欲望も、夢も、言葉も!
まっすぐに逆立つ ぼくの髪の毛の上に
いくたびか 恐怖の風が 吹き抜けるのを感じる。



上にも、下にも、いたるところに、深み、砂浜、静寂、
魂をうばうような 恐ろしい空間がある・・・・・・


夜ごとの背景に 神は巧みな指で
さまざまな とぎれることのない
悪夢を描く。



ぼくは眠りが恐ろしい、漠とした恐怖にあふれた
どこに通じるのかわからない、大きな穴が恐れられるように。
どこの窓からも見えるのは ただ無限だけ。


ぼくの精神は、いつも眩暈に襲われ、
虚無の 無感覚をねたんでいる。
――ああ! 数と存在からついに逃げられないとは!


                          ボードレール
                             「深淵」
                              *白凰社
                                佐藤朔訳



世界が私を愛してくれるので
(むごい仕方でまた時にやさしい仕方で)
私はいつまでも孤(ひと)りでいられる


私に始めてひとりのひとが与えられた時にも
私はただ世界の物音ばかりを聴いていた
私には単純な悲しみと喜びだけが明らかだ


私はいつも世界のものだから


空に樹にひとに
私は自らを投げかける
やがて世界の豊かさそのものとなるために


・・・・・・私はひとを呼ぶ
すると世界がふり向く
そして私がいなくなる



                 谷川俊太郎
                  (世界が私を愛してくれるので)
                    *国語の資料集に載っていた



 
               


ひどく窮乏に悩まされ、乞食のやうな生涯を終つた男が、
熱心に或る神を進行し、最後迄も疑はず、その全能を信じていた。

「あなたもまた、この神様を信仰なさい。
  疑ひもなく、屹度、御利益がありますから」

臨終の床でも、彼は逢ふ人毎にそれを説いた。
だが人々は可笑しく思ひ、彼の言ふことを信じなかつた。
なぜと言つて、神がもし本当の全能なら、
この不幸な貧しい男を、生涯の乞食にはしなかつたらう。
信仰の御利益は、もつと早く、すくなくとも彼が死なない前に、
多少の安楽な生活を恵んだだらう。

「乞食もまだ神の恩恵を信ずるか!」

さう言つて人々は哄笑した。
しかしその貧しい男は、手を振つて答弁し、
神のあらたかな御利益につき、熱心になつて実証した。
例へば彼は、今日一日の仕事を得るべく、
天が雨を降らさぬやうに、時々その神に向つて祈願した。
或はまた金十銭の飯を食ふべく、
それだけの収入が有り得るやうに、彼の善き神に向つて哀願した。
そしてまた、時に合宿所の割寝床で、彼が温かき夜具の方へ、
順番を好都合にしてもらへることを、密かにその神へ嘆願した。
そしてこれ等の祈願は、概ねの場合に於て、
神の聴き入れるところとなつた。
いつでも彼は、それの信仰のために恵まれて居り、
神の御利益から幸福だつた。
もちろんその貧しい男は、より以上に「全能なもの」を考へ得ず、
想像することもなかつた。

人生について知られるのは、全能の神が一人でなく、
到るところにあることである。
それらの多くの神々たちは、野道の寂しい辻のほとりや、
田舎の小さな森の影や、景色の荒寥とした山の上や、
或は裏街の入り込んでゐる、貧乏な長屋の露路に祀られて居り、
人間ども佗しげな世界の中で、しづかに情趣深く生活して居る。





                         荻原朔太郎
                          「散文詩」抄
                              神々の生活





くもりもない澄んだひたいに
ふしぎを夢見るまなざしをした子よ
時はとびすぎ ぼくはきみの倍ほども
生きてしまったけれど かまうものか
きみのかわいい笑顔が歓迎してくれるさ
愛こめて贈るお伽ばなしを


きみのかがやく顔を久しく見ない
銀のすずふる声も久しくきかない
このさききみの青春に ぼくなんぞ
思い出してももらえそうにないけれど――
いまはぼくのお伽ばなしに耳傾けてくれる
それでもう十分じゃないか


あの日 ひとつの物語がはじまったのだ
夏の陽のさんさんとふりそそぐなか――
ぼくたちの漕ぐオールのリズムが
単調な鐘の音さながら時をきざみ――
その音がいまだに頭にこだましている
「わすれろ」と ねたみぶかい歳月はいうけれど


さあ きいておくれ おぞましい声が
つれない知らせをもたらして
気のすすまぬ少女を
いやいやベッドへ追いたてるまでは
ぼくたちだって年くった子供にすぎない
ねるときが近づくとむずかるんだよ


外には霜 目もあけられぬ雪
おどろに荒れ狂うあらし――
内にはあかあかと燃える暖炉
おさない日々のよろこびの巣
魔法のことばにしっかと捉えられて
嵐の咆哮もきみの耳には入らない


〈しあわせな夏の日々〉はやがてすぎ
夏のかがやきは色あせるさだめ――
よしや ためいきの影が ちらちら
物語のなかにほのめいたとしても
ぼくらのお伽ばなしのたのしみに
そんなものが災いひとつもたらせやしない




                『鏡の国のアリス』
                      ルイス・キャロル
                       新潮文庫
                        矢田澄子 訳






ウー・・・・・・と、警報が鳴ります、ウウウー・・・・・・と、
皆さん、これは何かの前兆です、皆さん!
吃度〈きっと〉何かが起こります、夜の明け方に。
吃度〈きっと〉何かゞ夜の明け方に、起こると僕は感じるのです


――いや、そんなことはあり得ない、決して。
そんなことはあり得ようわけがない。
それはもう、十分冷静に判断の付く所だ。
それはもう、実証的に云つてさうなんだ・・・・・・。


ところで天地の間には、
人目に付かぬ条件があつて、
それを計上しない限りで、
諸君の意見は正しからうと、


一夜彗星が現れるやうに
天変地異は起こります
そして恋人や、親や、兄弟から、
君は、離れてしまふのです、君は、離れてしまふのです
 



                    中原中也
                     未発表詩
                      「十二月の幻想」
                       *角川ソフィア文庫








                        


おなかをすかせたこどもは
おなかがすいているのでかなしかった
おなかがいっぱいのおうさまは
おなかがいっぱいなのでかなしかった

こどもはかぜのおとをきいた
おうさまはおんがくをきいた
ふたりともめになみだをうかべて
おなじひとつのほしのうえで


                     谷川俊太郎
                       『クレーの絵本』





「彼女(かのひと)を知ったからには死なねばならぬ」
  死なねばならぬ
  名状しがたいその微笑の耀きのために。
  死なねばならぬ
  その軽やかな双手(もろて)のために。
  死なねばならぬ

  女のひとのために

  若者よ
  お前の心の空間のなかを高く 彼女(かのひと)たちが
  さまようとき 歌うがいい この致命的なひとたちを。
  お前の花咲く胸のうちから
  歌い たたえるがいい
  この達しがたいひとたちを ああ
  彼女たちがなんと遠いことか
  お前の感情(こころ)の
  頂きのうえに 彼女(かのひと)たちは現れて 注ぐのだ
  甘美となった夜を お前の両腕の
  見捨てられた谷間へ。 ああ 上昇する
  彼女(かのひと)たちの風がお前の肉体の葉むれに騒めき
  お前の小川が 輝いて 彼方へ流れてゆく

  けれども 大人は
  さらに深い感動をひめて 沈黙するがいい
  その感情の山々を 夜に 道もなく
  さまよい歩いた彼は
  沈黙するがいい

  ちょうど中年の船人が沈黙するように。
  すると耐えぬかれた
  驚愕(おどろき)は 彼のなかで跳び廻るのだ
  まるで揺れている鳥籠のなかでのように

                      
                      リルケ
                       *新潮文庫
                        富士川英郎訳



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