ピカデリーも
ソーホーも
コヴェントガーデンも
灰になっちまった
あのロンドンがよ
今じゃ地獄と同意語だ
俺はロンドンなんて嫌いだ
古くせえ街だと思ったよ
俺にゃ全然合わねえ町だと思ったよ
でもな
俺達が週末にくり出して行ってた
キャバレーはビールが冷えてうまかったし
バーテンの兄ちゃんもくっだねえ
下ネタが大好きなバカな奴でさ
売春宿の女郎たちは金に汚くて
ブスも多かったけど
でもな
みんな優しかったし
みんなかわいそうな目の奴ばっかりでよ
ヴァービー通りの定食屋のバアさんは
頼んでもねーのに俺が行くと
フィッシュ＆チップスを
いつも勝手につけやがる
俺が外人だからっつって
名物だっつって
毎度毎度
俺　アレ　油っこすぎて
食えないっつってんのに
バアさんに悪いから毎度無理に
食うのがつらくってさ
俺はロンドンなんか
嫌いだ
でもな
あいつらは
バーテンや
女郎達や
バアさんは
この闘争とやらと何の関係もねえ

戦争も
ナチも
吸血鬼も
何も関係がねえ

少佐って奴も
第13課ってのも
最後の大隊も
俺達ＨＥＬＬＳＩＮＧも

知ったこっちゃなかった

でもあいつらは
今
死体になって
死体を食ってる

それが俺には
勘弁ならねえ

セラス仇討ちをしようぜ

やっちまおう
あいつらやっちまおうぜ


　　　　　――ヘルシング邸　ヘルシング兵補充要員
　　　　　　　　　　　　傭兵隊隊長　ピップ・ベルナデッド

　　　　　　　　　　　　　　　『ＨＥＬＬＳＩＮＧ　6』