（･･････どうやって死のうか）

ヒデオもまた、いざとなってそんなことを考えてしまっていた。
逆に言えばそれを選ぶほどの余裕がある、
ということなのだが。

（首吊り自殺･･････）

ひどく苦しいらしい。
というか苦しいに決まっている。
それに、とても見られないような有様になるそうだ。
死んだ上に、見つけた人をビックリさせて
迷惑かけるのはどうだろう。
却下。

（手首カット･･････）

痛いに決まっている。
きっと、ためらってしまうほど痛いに違いないのだ。
それに見つけてくれた人に血の海を見せて
ビックリさせるのは、やはり迷惑だしよろしくないだろう。
却下。

（飛び降り自殺･･････）

前二つどころの騒ぎではなくなるので却下。

（中央特快･･････）

飛び降り以上の騒ぎなので却下。

（･･････）

試しにビニール紐で首を吊ってみたが、
台を蹴った拍子にプツリと切れて
顔面を床に打ち付け、
そのあまりの激痛に悶絶しただけだった。

（･･････）

困った。


　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　ひきこもり　二十歳
　　　　　　　　　　　　　　　　川村　ヒデオ
　　　　　　　　　　　　　　『戦闘要塞　マスラヲ』