見上げる青空より
血色の薔薇の花びらが舞い落ちて
その甘い香りで僕は窒息する
僕の死骸の上を、猫の脚が踏んでいく
死ぬには、とてもいい日だ


　　　　　　　　オプデルク・バスム・ニュード
　　　　　　　　　　「薔薇の葬送」　　皇暦四四三年

　　　　　　　　　　　『されど罪人は竜と踊る Ash to wish』

悪魔も地獄も見たこともないから、
想像上のものだと賢しげに主張する人間は、
想像力がまったく存在しない人間だ。
悪魔の詳細な原型は君の隣に存在しており、
鏡の中で簡単に発見できる。
街に出れば、地獄の元となった光景が
いくらでも見つかるだろう


　　　　　　　　　　　ザッハド・ダノン・イエッガ
　　　　　　　　　　　　　「月のない夜の啓示」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　皇暦四九一年

　　　　　　　　　　　　　『されど罪人は竜と踊る 2 Ash to Wish』

「人生と一緒さ。
  死ぬと解ってても生きる事は楽しくて仕方ない。
  死ぬと解っているからこそ楽しく生きられるのさ。
  ……なのに、それを解っていない奴が多すぎる。
  そういう奴らに人生をレクチャーしてやる瞬間の事を
  考えただけで、俺はどうしようなもなく生きている事を
　実感できるのさ」
「興奮するなよ」


　　――元白服集団（マフィア崩れ）のボス
　　　　　　ルッソ・ファミリーのボス　プラチナ・ルッソの甥
　　　　　　時計ワニの殺人鬼　
　　　　　　　　　　　ラッド・ルッソ

　　　　　マルティージョ・ファミリーの若手幹部
　　　　　　ピーターパンのカッモリスタ
　　　　　　　　　　　フィーロ・プロシェンツォ

　　　　　　　　　　　　　　『バッカーノ! 1934 完結編』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　口絵
　　　　　　　　　　　　　　　

「おまえは女の敵だな。
  いつか刺されるぞ。というか刺されろ」
「それは無理な注文だ。
  刺されるときは、他の女が身を挺して私の前に
  立っているだけだ」


　　――アシュレイ・ブフ＆ソレル咒式事務所所属
　　　　到達者たる十三階梯　前衛　生体攻性咒式士　
          　　ギギナ・ジャーディ・ドルク・メレイオス・アシュレイ・ブフ
　　　　十二階梯　後衛　化学練成攻性咒式士　
　　　　　　ガユス・レヴィナ・ソレル

　　　　『されど罪人は竜と踊る　Dances with the Dragons』

「俺はな、お前らみたいに我が物顔で裏社会の支配者だと
  自慢げに闊歩してやがるギャング野郎が嫌いで嫌いで嫌いで
  嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで
  嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで
  嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで
  嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いできら……ゲほぁッ……
  カハッ……ガハッ……き……かはッ……き、嫌いで嫌いで
　嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで仕方ねえんだ解ったか。
  気のいいギャングも堅気に手を出さないギャングも正義に燃える
  ギャングだっているかもしれねえが、あえて平等に俺は扱う。
  何故かと言ったら俺は手前らみたいな奴が嫌いで嫌いで嫌いで
  嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで
  嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで
  嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで
  嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いできら……ゲほぁッ……
  カハッ……ガハッ……」


      　　　　　　　　　　司法省捜査局[後のFBI]　幹部
　　     　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヴィクター・タルボット

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  『バッカーノ! 1934 獄中編』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　プロローグⅠ　カモッリスタ

（･･････どうやって死のうか）

ヒデオもまた、いざとなってそんなことを考えてしまっていた。
逆に言えばそれを選ぶほどの余裕がある、
ということなのだが。

（首吊り自殺･･････）

ひどく苦しいらしい。
というか苦しいに決まっている。
それに、とても見られないような有様になるそうだ。
死んだ上に、見つけた人をビックリさせて
迷惑かけるのはどうだろう。
却下。

（手首カット･･････）

痛いに決まっている。
きっと、ためらってしまうほど痛いに違いないのだ。
それに見つけてくれた人に血の海を見せて
ビックリさせるのは、やはり迷惑だしよろしくないだろう。
却下。

（飛び降り自殺･･････）

前二つどころの騒ぎではなくなるので却下。

（中央特快･･････）

飛び降り以上の騒ぎなので却下。

（･･････）

試しにビニール紐で首を吊ってみたが、
台を蹴った拍子にプツリと切れて
顔面を床に打ち付け、
そのあまりの激痛に悶絶しただけだった。

（･･････）

困った。


　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　ひきこもり　二十歳
　　　　　　　　　　　　　　　　川村　ヒデオ
　　　　　　　　　　　　　　『戦闘要塞　マスラヲ』

性格や趣味の一致は気分次第だけど、
好きな顔はいつまでも嫌いにならない。
だから私は男を好きな顔かどうかで選ぶことにしているの

　　　　　　　　　　―――製薬会社　オフィスレディ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ジヴーニャ・ロレッツオ

　　『されど罪人は竜と踊る　Dances with the Dragons』



　　　　　　　　　　　　　　　　　

「いや、あの、そのさ、えと、なんていうか、あれだよほら、
  平和的にさ、解決しようよ、ね？僕達さ、お互い、
  大人なんだからさ、ね？OK？大丈夫、僕達なら出来るよ、ね？
  だから、だかさらさ、落ち着いて考えようよ」





　　　　　　　―――シカゴの不良集団のボス　刺青の男
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ジャグジー・スプロット

　　　　　　　　　　　　　　　　　　『バッカーノ！　1931年　鈍行編』

べつに用なんかなくても、
話すくらいよくない？
内心そう面っても、あの視線にさらされると、
とても言えない。
だいたい何か適当に用件をでっちあげて、
当然どうでもいいようなことだから、
冷淡にあしらわれておしまいだ。
結局さぁ。
惚れたほうが負けなんだよねぇ。

　――クラン《昼飯時》〔ランチタイム〕の頭領〔マスター〕　アジアン
　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　『薔薇のマリア　Ver3 君在りし日の夢はつかの間に』

　　　　　　　　　

「ガユス、礼儀っていう言葉の噂を知っているか？
  本当に実在するらしいぞ。」
「ヘロデルよ、そう思っても言わないのが
  真の礼儀というものだろうが」

        ――龍皇国の一等咒式官僚
　　　　　　　　　ヘロデル
　　　　　　アシュレイ・ブフ＆ソレル咒式事務所所属
　　　　　　　十二階梯　化学練成攻性咒式士　
　　　　　　　　　ガユス・レヴィナ・ソレル

我等は絶叫し問い続ける
誰かが美しい至銀の短剣を
私の胸の奥の心臓に飾るまで
教えてくれ
その真実の虚偽と薔薇を

　　　　　　　ジグムント・ヴァーレンハイト
　　　　　　　　「遺稿詩生前葬」　皇暦四八九年

　　　　　　　　　　　　　　　『されど罪人は竜と踊る』

ああ、マリア。
マリア、マリア、マリア。
ボクの愛。ボクの魂。ボクのすべて。
極限愛《ラヴ・マックス》。
告白しよう。
ありったけの誠実さをこめて。
正直、こうしてこの腕で真正面からキミをぎゅっと強く
抱きしめられる時がやってくるなんて、
信じることのできなかった日々もたしかにあった――。
でも、今、ボクの腕のなかにはキミがいる。

ボクは何ものにもかえがたい、
大切で、貴重で、美しく、気高くて、
愛おしくてたまらない一輪の薔薇を、
キミを、手折ってしまわないように、
それでいてきつく抱きしめて耳許で囁く。


「大丈夫。ボクを信じて。」
　　　　　　　　　　　　
　　　　　
　　
　　　――《昼飯時》〔ランチタイム〕の頭領〔マスター〕　アジアン

　　　　　　　　　　　　『薔薇のマリア　Ⅳ－LOVE'N'KILL－』

楽しみだなあ。楽しみだなあ。楽しみだなあ。
この街は俺の知らない事がまだまだまだまだ
溢れ、生まれ、消えていく。
これだから人間の集まる街は離れられない！
人、ラブ！俺は人間が好きだ！
愛してる！

　　　　　　　　　―――新宿の情報屋
　　　　　　　　　　　　　　　　　　折原臨也
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『デュラララ!!』　柱書き