Les plus beaux tableaux sont ceux 
que l'on reve en fumant des pipes
dans son lit, mais qu'on ne fait pas.

                                    Vincent van Gogh





一番美しい絵は寝床の中でパイプをくゆらしながら
夢みて、決して実現しない画だ。

　　　　　　　　　　　　　『ゴッホの手紙』

"I am the Alpha and the Omega,
 the Beginning and the End."
says the Load,
"who is and who was and who is 
 to come,the Almighty"


          NEW TESTAMENT
                        -THE REVELATION of Jesus Christ-




神である主、今おられ、かつておられた、
やがて来られる方、全能者がこう言われる。
「わたしはアルファでありオメガである。
　最初であり、最後である。
　始まりであり、終りでもある。」


　　　　新約聖書
　　　　　　　　ヨハネの黙示録

このベルならした。

（髪の毛一つまみ、ひっぱる）

このドアたたいた。

（額をたたく）

この錠はずした。

（鼻をつまみあげる）

さあ、さあ、はいりましょ。

（口をあいて指を中へつっこむ）




　　　　　　　　　　　　　　　北原白秋
　　　　　　　　　　　　　　　　　『まざあ・ぐうす』

たんと売れても売れない日でも
　　　　　　　　　　　　同じ機嫌の風ぐるま
　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　雑二十六句

完全な幸福なんて存在しないね、と、
ある男が女房の母親が死んで、
葬式の勘定書を見せられたときに叫んだ。


　　　　小学校教師であった俳優でもあった
　　　　　　　ジャーナリストであり、ユーモア作家だった
　　　　　　　　　　　ジェローム・クロプカ
　　　　　　　　　　　　　通称　ジェローム・K・ジェローム

心というものは、それ自身一つの独自の世界だ。
――地獄を天国に変え、天国を地獄に変えうるものなのだ。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ミルトン
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『失楽園』

（･･････どうやって死のうか）

ヒデオもまた、いざとなってそんなことを考えてしまっていた。
逆に言えばそれを選ぶほどの余裕がある、
ということなのだが。

（首吊り自殺･･････）

ひどく苦しいらしい。
というか苦しいに決まっている。
それに、とても見られないような有様になるそうだ。
死んだ上に、見つけた人をビックリさせて
迷惑かけるのはどうだろう。
却下。

（手首カット･･････）

痛いに決まっている。
きっと、ためらってしまうほど痛いに違いないのだ。
それに見つけてくれた人に血の海を見せて
ビックリさせるのは、やはり迷惑だしよろしくないだろう。
却下。

（飛び降り自殺･･････）

前二つどころの騒ぎではなくなるので却下。

（中央特快･･････）

飛び降り以上の騒ぎなので却下。

（･･････）

試しにビニール紐で首を吊ってみたが、
台を蹴った拍子にプツリと切れて
顔面を床に打ち付け、
そのあまりの激痛に悶絶しただけだった。

（･･････）

困った。


　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　ひきこもり　二十歳
　　　　　　　　　　　　　　　　川村　ヒデオ
　　　　　　　　　　　　　　『戦闘要塞　マスラヲ』

絶望は虚妄だ、希望がそうであるように。


　　　　　　　　　　　　　　　魯迅
　　　　　　　　　　　　　　　　『野草』

「可愛いオンナノコいないかな・・・
 ってか可愛いオンナノコ落ちてないかな。」
「疲れてるなら言ってくれよ。」





　　　　　　　　　　　　　　　　　数ヶ月ぶりの再会の日に

 

今日は登校日なんだ…　今日は登校日なんだ…
今日は登校日なんだ…　今日は登校日なんだ…
まだまだ続くよ夏休み…　みんなで行こうよ青い海…
すいか割り…　ビーチバレー…　たぁのしいぃぞぉ～… 

　　　　　　　　
　　　　　　　　――とある共学高等学校二年
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　滝野 智

　　　　　　　　　　　　　　『あずまんが大王』

少年の頃は、打ち解けず、反抗的、
青年の頃は、高慢で、御し難く、
大人となっては、実行に励み、
老人となっては、気軽で、気まぐれ――
君の墓石にはこう記されるだろう。
確かに、それが人間だったのだ。


　　　　　　　　　　　　　　ゲーテ
　　　　　　　　　　　　　　　『警句集』

Allons enfants de la Patrie,
Le jour de gloire est arrivé!
Contre nous, de la tyrannie,
L'étendard sanglant est levé!
L'étendard sanglant est levé!
Entendez-vous, dans les campagnes,
Mugir ces féroces soldats?
Ils viennent jusque dans nos bras
Egorger nos fils et nos compagnes!

 
 
Aux armes, citoyens !
Formez vos bataillons !
Marchons ! marchons !
Qu'un sang impur abreuve nos sillons !

 

       　Claude Joseph Rouget de Lisle
 "Chant de guerre pour l'armée du Rhin"

 





いざ進め　祖国の子等よ
我等に向かって暴君の血塗られた御旗が掲げられている。
血塗られた旗がはためいている。
戦場で、獰猛な兵士達が蠢いている声が聞こえるか？
息子や仲間の首を掻っ切りに
奴等は我等の元へと迫ってくる。


武器をとれ　市民達よ
隊列を整えよ
進め！進め！
あの穢れた血で我等の田畑を潤そうぞ！





　　　　　　　
　　　　　　工兵大尉　
　　　　　　　　　クロード・ジョゼフ・ルージェ・ド・リール
    　　　　　　　　　　　　　　　　　『ライン軍のための軍歌』

グレゴリイ・グリッグスさんは、
グレゴリイ・グリッグスさんは、
二十と七つのお面もちでおじゃって、
とっかえ、ひっかえ、ひっかえ、とっかえ、
街じゅうをやんやとわらわせる。
東へいっちゃひっかぶり、
西へいっちゃひっかぶり、
それでも、どの面がいちばんおすきか、
やっぱり御本人でおおいやれぬ。




　　　　　　　　　　　　　　　　　　北原白秋
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『まざあ・ぐうす』